2冊目は、『若冲の描いた生き物たち』。
前回の『江戸鳥類大図鑑』では、江戸時代の人が鳥をどう描き、
どう記録したのかなどを紹介した。
今回は、伊藤若冲の作品に描かれた生き物へ目を向けてみたい。
絵の中の鳥や動物を見るとき、色や形の美しさだけでなく、
「これはどんな生き物なのだろう」と気になることがある。
そんな関心から若冲の作品を読むための一冊だ。
この本を一言でいうと
若冲の絵を、美術と生き物の両方の視点から読む本だ。
出版社の紹介では、作品の美術的な解説に加え、
描かれた生き物の生態や、
当時の人々の文化との関わりを扱う本とされている。学研出版サイト
図鑑えらびで紹介するなら、絵に描かれた生き物を知るための本
として位置づけたい。
自然観察への関心から、美術の本に入っていく、
もしくは、美術の関心から自然観察へ入っていく入口にもなりそうだ。
書誌情報
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 書名 | 若冲の描いた生き物たち |
| 画 | 伊藤若冲 |
| 監修・執筆 | 小林忠、小宮輝之、湯浅浩史 |
| 執筆 | 秋篠宮文仁、佐々木猛智、本村浩之 |
| 出版社 | 学研プラス(2016年刊の書誌表記。現在の出版社サイトではGakken) |
| 刊行年月/発売日 | 2016年2月/出版社掲載の発売日は2016年1月28日 所有本は2016年2月9日初版 |
| ページ数 | 168ページ(出版社表記) |
| 判型・大きさ | A4判(出版社表記) 縦:30.5cm 横:21.9cm 厚さ:1.8cm |
| 重さ | 未計測 |
| 価格 | 出版社掲載の定価4,620円(税込) |
| ISBN | 978-4-05-406168-2 |
| 新品・中古・絶版の状況 | 各種販売サイトに新品の在庫は、ない模様。Amazonの中古で5,780円が最安。 |
| わが家の保管場所 | ベッド下のスペース |
書誌はCiNii Books、判型・ページ数・定価・発売日は学研出版サイトを参照した。調査日は2026年10月7日。所有本の版・刷は、奥付を確認し、大きさはAmazonの商品ページを参照した。
大きさは、出版社表記ではA4判だが、実際はそれよりもやや大きい。
書誌上の大きさを踏まえると、屋外に持ち出して使用するようなものではなく、机に置いて調べる使い方が適切だ。
また、実物の観察でその種類を調べるような使い方は、想定していない。
掲載対象とカバー範囲
本書の中心は、若冲の代表的な作品と、そこに描かれた生き物だ。
堺市立図書館の紹介では、
複数の分野の専門家が描かれた生き物を検討し、
作品の全体図と部分図の両方で紹介するとされている。
『江戸鳥類大図鑑』が鳥の図と記録をたどる資料であるのに対して、
こちらは若冲の作品を起点に読む本。
同じ江戸時代の生き物の絵でも、何を知りたくて開くかが変わってくる。
なお、この本では、若冲の全作品や、描かれた生物をすべて網羅していない。
主に動植物を題材とした代表的な作品を中心に掲載されている。
掲載内容
第一章の鶏・鳥には、26図。
第二章の動物には、5図。
第三章の植物には、12図。
第四章の昆虫・水の生き物には、5図が掲載されている。
基本的には、見開きの右ページに全体図、左ページに部分図を掲載。
全体図では、作品の中で生き物がどう配置されているか。
部分図では、羽の塗分けや色の重ね方など、各種画法を見ることができる。
また、小さくではあるが、実際の動物の写真なども掲載されており、
本書は、色々な切り口から若冲作品を眺めたり、読める構成として紹介されている。
生き物の解説を読んでから絵へ戻れば、
最初は見過ごしたところに注目できるかもしれない。
画面全体を眺める時間と、一つの生き物を見る時間を行き来する。
そんな読み方を試してみたい。
本文の合間に、関連するコラム。
巻末には、
- 伊藤若冲年譜
- 若冲ゆかりの地をめぐる
- 作品目録
- 英文目録
- 「はじめに」英訳
を掲載。
作品目録には、作品の収蔵先なども記載されている。
気になった点・購入前の注意
まず確認したいのは、自分が読みたい内容との相性だ。
若冲の絵を、生き物の解説と一緒に読みたいなら、本書の方向性は分かりやすい。
一方、観察した鳥の名前や現在の分布を調べたいなら、
その目的に合う現代の図鑑も必要になる。
定価は出版社掲載で税込4,620円。
ただし、現在各販売サイトでは在庫がないらしく、定価の新品は見当たらなかった。
中古を探す場合は、カバーの有無、書き込み、シミ、ページの欠落なども確認したい。
図版の細部を見たい人は、可能なら購入前に図書館などで実物を開いて、
文字や部分図の大きさを確かめると選びやすいと思う。
こんな人におすすめ
- 若冲の作品に描かれた生き物を知りたい人。
- 美術と自然観察の両方に関心がある人。
- 絵の全体と細部を、解説と行き来しながら読みたい人。
こんな人には向かない
- 野外で生き物の名前を素早く調べる一冊を探している人。
- 現在の分類や分布を網羅した図鑑を求めている人。
本の性格が合うかどうかは、「絵を読むために開くのか」「観察した生き物を調べるために開くのか」を考えると整理しやすい。
購入先・関連図鑑
購入先は、学研出版サイトの書籍ページにある書店案内から確認できる。
図書館で探す場合は、CiNii Booksの所蔵情報も手掛かりになる。
関連する一冊として、前回紹介した『江戸鳥類大図鑑』も挙げておきたい。
若冲の活躍した、江戸時代に鳥がどのように見られていたかを
確認することができる。
対応するnoteのページ
絵と生き物の解説を行き来する読み方、保管場所を含めた本との付き合い方は、
note原稿でまとめている。
生き物の名前が分かると、絵の中で気になるところも増えるかもしれない。
『若冲の描いた生き物たち』は、そんな読み方の入口として紹介したい一冊だ。


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